オズワルド君の日記

旅日記、短編ゴミ小説??をメインに毎日投稿

そよ風が春キャベツを撫でたあの時

天井にはいくつもの穴が空いている。

 

それを修復しようとしたのだろうか、ひどくツギハギが目立つ。

 

ポタッ。。。ポタッ。。。ポタッ

 

穴からは水滴が一定の間隔を保ちながら滴り落ちている。

 

床を打ち付ける水滴の音が目覚まし代わりとなり男は目を覚ました。

 

あぁ、床が水浸しだ。

そう思いながら布団から出ると物置部屋に向かう。

 

中に入り、素早くボロボロの雑巾と蜘蛛の巣が張ってあるバケツを手に取ると、駆け足で寝室へと戻る。

 

寝室へ戻ると男は床にできた水溜まりに雑巾を浸し、その雑巾をバケツの上で絞った。

 

天気予報は曇りだったのに。

 

そんなことも考えることもなく無心で単純な作業を続けていく。

 

床の水を拭き終わり、穴の下にバケツ設置し終えると男はため息を吐きながら調理場へと向かった。

 

「何かあったっけな?」

 

あくび混じりの声でそういいながら冷蔵庫を漁る。

 

「キャベツが残っていたな」

 

昨晩切り分けておいた春キャベツを手に取ると慣れた手つきで調理を開始する。

 

春キャベツををフライパンに投入すると中火で炒めていく。

 

キャベツが飴色になってきたところで火を止め鶏ガラスープの素とマヨネーズを入れて余熱であえていく。

 

貧乏飯の出来上がりだ。

 

肉なんてなくても鶏肉の風味がしてとてもうまい。

キャベツも冬のものに比べて甘みが強くシャキシャキしていておいしい。

 

「ご馳走様でした。」

 

そう言うと食器を下げ、台所で丁寧に洗う。

 

「さて、今日も頑張ろう」

 

手を伸ばしのびをしながら外へと向かう。

 

時刻はまだ7時だ。農家の朝は早い。

 

男は農園を営んでいる。

 

春キャベツもその農園で育てている野菜の一つである。

 

サァー。外に出ると春の訪れを感じられら暖かい風が吹いた。

 

自慢のサラサラの前髪が少しなびく程度の小さなそよ風だ。

 

そんなそよ風が通り過ぎた途端目の前には目を疑う光景が広がっていた。

 

「キャ、キャベツが宙に浮いている!」

 

人生の中で一番とも言えるかもしれないほどの声を出し男は尻もちをついた。

 

 

何百というキャベツが宙に浮いている。

そんな有り得ない光景を座り込んだまま見ているとキャベツは突如眩い光を放ちだした。

 

すると、ありがとう。

そんな言葉が男の頭の中に聞こえてきた。

それと同時にキャベツは次々と姿を消していってしまった。

 

春の訪れを感じると共に自我を持ち始めた春キャベツ達。

彼らは"春"を求めて旅立っていったのかもしれない。

 

「ツナツヒコ様...か...。」

 

男はそう呟きながら立ち上がり、再び農作業へと戻るのであった。

 

 

 

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キャベツをテーマにした物語。特に深い意味はありません。

 

なんだこいつは?

 

僕はそう思われるような文章が描きたいんだ!!